tomo-G の日常

定年退職後のG(爺)の日常です。

晩酌

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酒場放浪記の吉田類さんは、肴に刺身が出て来ると、決まって「こうなると、やっぱりお酒ですね!」と言って日本酒を所望するのだ。

この「こうなると、やっぱりお酒ですね!」という感覚が、Gにはつい最近まで理解できなかった。

還暦を迎えるまでは、自宅で晩酌する習慣がなく、酒は嫌いではないけれど、仕事上のコミュニケーション・ツールぐらいにしか考えていなかった。もちろん、風呂上がりの一杯のビールがいかに旨いかは承知していたけれど、それは酒を嗜むと言うより、もっと即物的な快楽と言うものだ。

そんなGが、何が切っ掛けだったかすら覚えてはいないけれど、還暦を過ぎてから突然毎晩ビールを飲む様になった。最初は350ml缶一本だけだったのが、休みの日には「たまの休みだし…」と、もう一本おかわりをする様にもなった。

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そんな折、酒場放浪記で吉田類さんが出身地土佐の「酔鯨」を旨そうに呑むのを目にした。また、同じ頃、何気なく眺めていたネットオークションでクジラ柄の有田焼の蕎麦猪口が目に止まった。

「クジラの蕎麦猪口で酔鯨を呑ったら、粋だねぇ!」

と思いついた。

こちとら江戸っ子じゃあねぇが、「粋」は何よりの好物だいっ!早速、クジラ柄の蕎麦猪口をオークションで競り落とし、返す刀で酔鯨純米大吟醸を奮発したねぇ。旨ぇの、旨くねぇのって、そりゃおめぇ、旨ぇに決まってるじゃねぇか、コンチクショー!

と、言った具合に、Gは日本酒での晩酌を始めたのが満65歳と言う超遅咲きの酒飲みなのだ。

その後も、酒の銘柄を変えてみたり、蕎麦猪口を買い足してみたり、そして奥方に酒の肴ねだりながら、今日も晩酌を愉しむGなのである。

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深海釣り②

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Gの深海釣りデビューは、自宅から車で30分ほどの片貝港からだった。片貝の勇幸丸は釣りジャーナリストの盛川宏さんの著書にもしばしば登場する船宿で、先代の頃はよく深海釣りにも出船していたらしいけれど、代替わりをしてからは、お客さんのリクエストがなければ深海釣りの乗合船が出ること、はまずない。

2013年の年明け早々、そんな勇幸丸のHPにアコウダイ(メヌケ)乗合出船の告知を見つけて、すぐに電話をしてみた。

「深海釣り初めてで、道具だけは揃えたんだけど、釣り方教えてもらえますか?」と尋ねると、温厚な船長が「操舵室の真下の釣座で良ければ、教えてあげられるよ。でも、俺も人様に教えられるほど巧くはないけど。ハハハ!」と快諾してくれた。

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さて釣行当日、夜中に港に着くと、既に船には灯りがともり、他の釣り人達も到着した順に準備をしていた。

先に来ていた釣り人達は艫(船の後)寄りと艏(船の前)寄りの釣座を陣取っているので、船長が指定した胴の間(操舵室の下)には誰もいない。そこに荷物を下ろして、左右の釣り人の様子をうかがいながら準備をしていると、常連らしき釣り人が声をかけて来た。

アコウダイ、初めての人?船長から聞いてるよ。今日は凪が良さそうでよかったね。あっ、そのコードはこっちを通した方が…。」と、とにかく親切なのだ。

釣りをしている間も、船長以上に周りのベテランさん達がアレコレと面倒を見てくれて、心配していた専用治具での仕掛け投入も、一度も失敗することは無かった。

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その上、当日は魚の活性も高くて、初心者のGはベテラン・常連の先輩達を出し抜いて、一投目から5点掛けの提灯行列を達成だ。

群青の海に、深海から浮上して気圧変化に耐えきれず腹を膨らませて漂う緋色の魚体を、提灯の火になぞらえてそう呼ぶのだ。この瞬間こそが、深海釣りの醍醐味だ。

そんな光景を、デビュー戦の第一投目で見てしまったら、そりゃあやめられませんよ!

 

深海釣り①

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過去の記録をたどると、Gの初めて深海釣り挑戦は2013年1月まで遡る。ただし、準備期間まで含めるとさらにその1年前と言うことになる。

深海は、一般的には水深200mより深い海を指すそうだけれど、釣りの世界では200m前後は中深海、本格的な深海は500m以深と言って差し支えないだろう。

深海で狙う魚といえば、キンメダイやメヌケ類(アコウダイ等)が一般的だけど、水深1000m前後を狙う狙うベニアコウ(オオサガ)や、近頃では高級魚扱いされるアブラボウズも深海釣りのターゲットで、いずれも超美味な高級魚だ。

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深海釣りの道具は、基本的には自前で用意しなければならない。船宿さんがレンタル品を用意するには高価すぎるのだ。500号(約2kg)のオモリを背負える深海ロッド、その竿を船縁で支えられるロッドキーパー、10号以上の道糸を1000m以上巻ける大型電動リール。最低でもこの3点セットは必要で、中古品で揃えても20万円は下らないだろう。

その他に、大型クーラーボックス、大型電動リール用バッテリー、餌(近頃高価なスルメイカ)などを用意すると、さらに数万円が必要だ。

それに、仕掛けもハリが10本以上ついた全長10m以上のものを専用治具に巻き付けて用意しなければならない。

深海釣りは、とにかく手間とお金がかかるのだ。

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Gは「準備に1年要した」と言ったけれど、仕掛けを準備するだけで半年位はかかったと記憶している。もちろん、釣りの準備は休日しかできないし、その合間に他の魚を釣りに行ったりもするので、正味の期間ではないのだが。

例えば水深500m前後のメヌケ釣りなら、1日の投入回数は8回が基本だから、最低でも投入回数分の仕掛けを用意しておかなければならない。ベテランなら仕掛けの使い回しもできるけれど、初心者には絶対にムリ。

だから、先ずは80本の針(10本×8回)をハリスに結ばなければならないし、その80本のエダスを幹糸に結びつけなければならない。そしてその仕掛けを専用治具に巻き付けるのだが、その方法は本やネットで調べることはできるけど、実際にやってみるとややこしいし、釣行当日釣り場に行って無事に投入できるかどうか誰にもわからない。こんな不安なことってそうはないけれど、それでも釣り人を魅了してやまない深海釣りなのだ。

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酒亭「海彦」

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ふた昔も前のはなし、新橋に『海彦』という酒亭があった。
釣り好きの大将が脱サラをして始めた店で、7、8人も座れば肩が触れ合うカウンターと、6人も座れば足も崩せぬほどの小さな小上がりのある店を、大将と元気な二人の老姉妹が切り盛りしていた。
あの二人の老婦人は、本当に姉妹だったのか?
どちらか一方のご婦人は、大将のつれあいだったのか?
聞かずじまいだった。
当時、子育ての真っ最中だったGの小遣いでは、月に何度も通うことは適わなかったけれども、この店で美味しい魚を教わった。
赤ムツ(ノドグロ)が今ほどポピュラーじゃなかった時代、その刺身や一夜干しに初めて出会ったのはこの店だったし、石鯛の刺身がどれほど旨いか教わったのもこの店だった。
冬になるとねっとりと舌に絡みつく、自家製のカラスミなんかも出してくれた。
僕はあまりイケるくちではないけれど、この店に来たときだけは冷酒専門だった。

ところが、海外赴任から5年ぶりに戻ってふらりと立ち寄ろうとしたけれど、店が無くなっていた。大将も随分年配だったから、引退したのか…、知る術はない。
こういう酒亭が少なくなって、安居酒屋のチェーン店ばかり増えるのを寂しく思うのはGだけだろうか。

釣ったら、食べなきゃ!

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みなさんは、釣りジャーナリストの盛川宏さんをご存知だろうか?釣り業界では名の知られた方で、Gも大ファンの一人でした。

言うまでもなく、Gは2007年に鬼籍に入られた盛川宏さんの知己を得ていた訳ではないけれど、本稿では同じく釣りを愛する大先輩に敬愛を込めて「盛さん」と呼ばせて頂きます。

さて、盛さんは元々は日刊スポーツ編集局レジャー部長として釣り誌面の制作に携わっていたのですが、46歳でフリーの釣りジャーナリストに転身されます。

その時の経緯や心情は、ご自身のエッセイの中でもたびたび触れられていて、「軽々に会社を辞めてはいけない」と、Gの様な思慮浅薄な後進を戒めています。

その後は、失意の時を経て、全国紙やスポーツ紙、雑誌などでエッセイやコラムを連載し、それらをまとめたエッセイ集を何冊も上梓されました。

また、1999年の隔週刊誌「つり丸」の創刊にあたっては、自ら編集長となって誌面作りに活躍されたことでも知られています。

そんな盛さんの座右の銘は「釣って成仏、食べて功徳」、つまりは「釣ったら、食べなきゃ!」と言うこと。

スポーツフィッシングでのキャッチ&リリースの精神とは一見相容れない様にも映るけれど、「食べない魚は釣らない」「食べる分しか釣らない」と言う盛さんのポリシーは、「資源を大切にする」「命を粗末にしない」と言う点で、キャッチ&リリースの精神と根っ子は同じです。

ところで、盛さんの著書には「坊主礼賛」の様な釣りや魚に対する深い造詣に裏打ちされたスマートなエッセイ集がある一方で、漫画家北見けんいちさんの挿絵に思わずニンマリしてしまう軽妙洒脱な人気シリーズ(釣りきち料理帖等)があります。

「釣りきち」と「のんべえ」と「食いしんぼう」が、今日も今日とて活魚屋の白木のカウンターに並んで、酒と魚と釣りと料理に蘊蓄を傾け丁々発止とやり合うけれど、最後は皆んなで酔っ払ってお決まりの大円団。

馬鹿馬鹿しくてワンパターンだけど、いくら読んでも飽きないところは、どこか吉本新喜劇みたい。

Gが釣りを始めたのも、「釣りきち料理帖」が切っ掛けだったな。釣りに行けない休日には、今でも時々書棚から取り出しては、一人でニンマリしているGです。

 

 

 

 

リュウ

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Gの相棒のリュウは、この春小学生になります。

リュウとは、彼が物心つく前から一緒に暮らしてきたので、別居が当たり前の当世の「爺孫関係」とは少し違うかも知れません。

しかも、リュウの父親は仕事の都合で年に数えるほどしか家に帰って来れないので、Gは時としてその代役も果たさなければなりません。もちろん、本物の「お父さん」にはぜんぜん敵わないのだけど…。

我が家は、普段はGと、Gの奥方と、娘(リュウの母親)とリュウの4人暮らしなので、何かの拍子で男組と女組に分かれることがあります。

だから、リュウはGにとっては男同士の相棒なのです。でも、困ったことにこの相棒、女組の「美味しいモノ」につられてチョイチョイGを裏切ります。

まぁ、裏切ると言うより、女組に吸収されて無効化されてしまう感じ…。

そう言う意味では、まったく頼りない相棒だけど、一つだけGの言いつけをしっかりと守ってくれていることがあります。

それは「自分より弱い相手(女子や歳下)には、絶対に手を挙げるな!」と言うこと。

先日も、腕や脚に引っ掻き傷を作って保育園から帰ってきたので訳を尋ねると、同い年の女子達にやられたとのこと。リュウは「やめろよ!」と言ったけど、手は出さなかったと口をへの字に曲げて、何かを必死に堪えています。

そろそろ、この小さな相棒に「自分の身は自分で守れ!」と教える頃かな?

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魚釣りとマイカー

30歳を過ぎた頃から、「趣味は?」と尋ねられると決まって「魚釣り!」と答えてきました。

当時は都心近くの社宅に住んでいて、船釣りに行くとなると片道2時間以上、ちょっと渋滞にハマれば3時間以上ということもざらでしたね。

そんな訳で、36歳でマイホームを建てるときに選んだのが、房総半島の付け根に位置する大網でした。

今となっては、どうやら此処が終の棲家になりそうですが、大網からだと、北は銚子、南は館山に至るまで、房総半島のどこに行くのも1時間半圏内と、とても便利。

Gの定年退職後の行動範囲は、ほぼ房総半島内に収まりそうですから、その脚はこれで決まり!

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奥方様にわがままを言って、自分専用のホンダN-VANを手に入れました。

N-VANは運転席以外はフルフラットになるし、スーパーハイトなので外見よりも車内が広いんです。BIGサイズのクーラーBOXが楽々積めるし、ロッドの収納にも困りません。自分専用だから、汚しても、濡らしても、すべて自己責任です。

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こんな幸せって、ある?

もちろん、もっと大きい車をお持ちの方や、豪華装備の車をお持ちの方もいるでしょう。

でも、房総半島の湊町の狭い路地を燃費良く、キズやヨゴレを気にせずに走るならコレで十分、と言うかコレがベストじゃないかとすら思います。

そもそも、定年退職後のGのようなサラリーマンには、ちょっと贅沢なくらい。

それと大きな声では言えないけど、N-VANは軽貨物なので申請すれば黒ナンバーが取得できるんです(当たり前か…)。だから、いざとなったらAmazonの配達のバイトもできるかな?

そんなことを夢想している、定年退職目前のGなのでした。