tomo-G の日常

定年退職後のG(爺)の日常です。

ひとつテンヤ

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1年ぶりの釣行はひとつテンヤ真鯛に決めた。

釣行先は飯岡の梅花丸。周年ひとつテンヤ真鯛をメインターゲットにしている船宿で、Gも10年前に80㎝、6.5kgの大鯛を釣らせてもらったことがある。

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自宅から飯岡漁港までは一般道で1時間半弱と言ったところ。船宿の受付が午前4時なので、途中での買物時間を考慮して草木も眠る丑三つ時に自宅を出発。

船宿について釣座を確保しようとすると、四隅はすでに先客に抑えられていたので、左舷みよしの2番目を確保した。

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混雑する休日なら四隅が釣りやすいけれど、平日釣行ならそれほど気にならない。

当日は二艘体制で、Gが乗った15号船は片舷5人の総勢10名で朝5時に出船した。

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海は前日のウネリが多少残ってはいるが良い凪だ。

20分ほど沖に走った水深20m前後で第一投。

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しばらくすると、船中あちこちで竿が曲がり始める。左舷みよしの名人はカサゴ混じりながら、気持ち良さそうに次々とタイを釣り上げている。

左隣の女性アングラーも慣れた竿捌きで良型をごぼう抜き。

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そんな中、Gの竿はピクリともしない。餌の活エビもそのままに姿で戻って来る。

真鯛って、どうやって釣るんだっけ?

そんな焦りの中で気を揉むこと2時間、ようやく本命の顔を見ることができた。キロには少々足りなそうだが、太った綺麗な魚体だ。

これをきっかけに、外道混じりでもう1尾本命を追釣することができた。

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1年ぶりの釣行ゆえ、今日はこれくらいで勘弁しておいてやろう!

 

 

 

 

弟子

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3月29日、Gの最終出社日の夜、義父が亡くなった。

奥方の父親である。

92歳の大往生だった。

義父は某乳業メーカーのサラリーマンだったが、仕事一筋、貯金が趣味のような人で、遊興とか無駄遣いとは無縁の人だった。Gが若い頃、決して折り合いが悪かったわけではないけれど、ほとんど会話をした記憶がない。

何しろ口下手だし、無愛想なのだ。

そんな義父が何を思ったか、80歳を過ぎてからGの釣りの弟子になった。何気なく「たまには、海に出て釣りでもしませんか?」とお愛想を言ったら、なぜか「オウ、行くか!」と一発で食いついてきた。

義父の船釣りデビューは、大洗のエビ餌のハナダイだったと思う。

まれに見るほど手先が不器用な人で、指先に力が入るから活エビが針に刺す前にみんな潰れて死んでしまうのだ。

Gは義父に対して普段は敬語・丁寧語を使うのだけれど、この時ばかりは「なーにやってんの?どうすると、こんな風になっちゃうわけ?」と言った調子で師匠風を吹かせて「指導」した。

それでも義父は懲りずに、その後もカサゴやフグを釣りに出かけた。

そんな義父が亡くなった。

義父は昨年長男を亡くしていたので、葬儀の喪主はGが務めた。

「おい、会社が定年になったって、楽隠居するのはまだ早すぎるぞ!」と義父に気合を入れられたような気がするGだった。

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深海釣り②

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Gの深海釣りデビューは、自宅から車で30分ほどの片貝港からだった。片貝の勇幸丸は釣りジャーナリストの盛川宏さんの著書にもしばしば登場する船宿で、先代の頃はよく深海釣りにも出船していたらしいけれど、代替わりをしてからは、お客さんのリクエストがなければ深海釣りの乗合船が出ること、はまずない。

2013年の年明け早々、そんな勇幸丸のHPにアコウダイ(メヌケ)乗合出船の告知を見つけて、すぐに電話をしてみた。

「深海釣り初めてで、道具だけは揃えたんだけど、釣り方教えてもらえますか?」と尋ねると、温厚な船長が「操舵室の真下の釣座で良ければ、教えてあげられるよ。でも、俺も人様に教えられるほど巧くはないけど。ハハハ!」と快諾してくれた。

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さて釣行当日、夜中に港に着くと、既に船には灯りがともり、他の釣り人達も到着した順に準備をしていた。

先に来ていた釣り人達は艫(船の後)寄りと艏(船の前)寄りの釣座を陣取っているので、船長が指定した胴の間(操舵室の下)には誰もいない。そこに荷物を下ろして、左右の釣り人の様子をうかがいながら準備をしていると、常連らしき釣り人が声をかけて来た。

アコウダイ、初めての人?船長から聞いてるよ。今日は凪が良さそうでよかったね。あっ、そのコードはこっちを通した方が…。」と、とにかく親切なのだ。

釣りをしている間も、船長以上に周りのベテランさん達がアレコレと面倒を見てくれて、心配していた専用治具での仕掛け投入も、一度も失敗することは無かった。

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その上、当日は魚の活性も高くて、初心者のGはベテラン・常連の先輩達を出し抜いて、一投目から5点掛けの提灯行列を達成だ。

群青の海に、深海から浮上して気圧変化に耐えきれず腹を膨らませて漂う緋色の魚体を、提灯の火になぞらえてそう呼ぶのだ。この瞬間こそが、深海釣りの醍醐味だ。

そんな光景を、デビュー戦の第一投目で見てしまったら、そりゃあやめられませんよ!

 

深海釣り①

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過去の記録をたどると、Gの初めて深海釣り挑戦は2013年1月まで遡る。ただし、準備期間まで含めるとさらにその1年前と言うことになる。

深海は、一般的には水深200mより深い海を指すそうだけれど、釣りの世界では200m前後は中深海、本格的な深海は500m以深と言って差し支えないだろう。

深海で狙う魚といえば、キンメダイやメヌケ類(アコウダイ等)が一般的だけど、水深1000m前後を狙う狙うベニアコウ(オオサガ)や、近頃では高級魚扱いされるアブラボウズも深海釣りのターゲットで、いずれも超美味な高級魚だ。

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深海釣りの道具は、基本的には自前で用意しなければならない。船宿さんがレンタル品を用意するには高価すぎるのだ。500号(約2kg)のオモリを背負える深海ロッド、その竿を船縁で支えられるロッドキーパー、10号以上の道糸を1000m以上巻ける大型電動リール。最低でもこの3点セットは必要で、中古品で揃えても20万円は下らないだろう。

その他に、大型クーラーボックス、大型電動リール用バッテリー、餌(近頃高価なスルメイカ)などを用意すると、さらに数万円が必要だ。

それに、仕掛けもハリが10本以上ついた全長10m以上のものを専用治具に巻き付けて用意しなければならない。

深海釣りは、とにかく手間とお金がかかるのだ。

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Gは「準備に1年要した」と言ったけれど、仕掛けを準備するだけで半年位はかかったと記憶している。もちろん、釣りの準備は休日しかできないし、その合間に他の魚を釣りに行ったりもするので、正味の期間ではないのだが。

例えば水深500m前後のメヌケ釣りなら、1日の投入回数は8回が基本だから、最低でも投入回数分の仕掛けを用意しておかなければならない。ベテランなら仕掛けの使い回しもできるけれど、初心者には絶対にムリ。

だから、先ずは80本の針(10本×8回)をハリスに結ばなければならないし、その80本のエダスを幹糸に結びつけなければならない。そしてその仕掛けを専用治具に巻き付けるのだが、その方法は本やネットで調べることはできるけど、実際にやってみるとややこしいし、釣行当日釣り場に行って無事に投入できるかどうか誰にもわからない。こんな不安なことってそうはないけれど、それでも釣り人を魅了してやまない深海釣りなのだ。

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釣ったら、食べなきゃ!

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みなさんは、釣りジャーナリストの盛川宏さんをご存知だろうか?釣り業界では名の知られた方で、Gも大ファンの一人でした。

言うまでもなく、Gは2007年に鬼籍に入られた盛川宏さんの知己を得ていた訳ではないけれど、本稿では同じく釣りを愛する大先輩に敬愛を込めて「盛さん」と呼ばせて頂きます。

さて、盛さんは元々は日刊スポーツ編集局レジャー部長として釣り誌面の制作に携わっていたのですが、46歳でフリーの釣りジャーナリストに転身されます。

その時の経緯や心情は、ご自身のエッセイの中でもたびたび触れられていて、「軽々に会社を辞めてはいけない」と、Gの様な思慮浅薄な後進を戒めています。

その後は、失意の時を経て、全国紙やスポーツ紙、雑誌などでエッセイやコラムを連載し、それらをまとめたエッセイ集を何冊も上梓されました。

また、1999年の隔週刊誌「つり丸」の創刊にあたっては、自ら編集長となって誌面作りに活躍されたことでも知られています。

そんな盛さんの座右の銘は「釣って成仏、食べて功徳」、つまりは「釣ったら、食べなきゃ!」と言うこと。

スポーツフィッシングでのキャッチ&リリースの精神とは一見相容れない様にも映るけれど、「食べない魚は釣らない」「食べる分しか釣らない」と言う盛さんのポリシーは、「資源を大切にする」「命を粗末にしない」と言う点で、キャッチ&リリースの精神と根っ子は同じです。

ところで、盛さんの著書には「坊主礼賛」の様な釣りや魚に対する深い造詣に裏打ちされたスマートなエッセイ集がある一方で、漫画家北見けんいちさんの挿絵に思わずニンマリしてしまう軽妙洒脱な人気シリーズ(釣りきち料理帖等)があります。

「釣りきち」と「のんべえ」と「食いしんぼう」が、今日も今日とて活魚屋の白木のカウンターに並んで、酒と魚と釣りと料理に蘊蓄を傾け丁々発止とやり合うけれど、最後は皆んなで酔っ払ってお決まりの大円団。

馬鹿馬鹿しくてワンパターンだけど、いくら読んでも飽きないところは、どこか吉本新喜劇みたい。

Gが釣りを始めたのも、「釣りきち料理帖」が切っ掛けだったな。釣りに行けない休日には、今でも時々書棚から取り出しては、一人でニンマリしているGです。

 

 

 

 

魚釣りとマイカー

30歳を過ぎた頃から、「趣味は?」と尋ねられると決まって「魚釣り!」と答えてきました。

当時は都心近くの社宅に住んでいて、船釣りに行くとなると片道2時間以上、ちょっと渋滞にハマれば3時間以上ということもざらでしたね。

そんな訳で、36歳でマイホームを建てるときに選んだのが、房総半島の付け根に位置する大網でした。

今となっては、どうやら此処が終の棲家になりそうですが、大網からだと、北は銚子、南は館山に至るまで、房総半島のどこに行くのも1時間半圏内と、とても便利。

Gの定年退職後の行動範囲は、ほぼ房総半島内に収まりそうですから、その脚はこれで決まり!

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奥方様にわがままを言って、自分専用のホンダN-VANを手に入れました。

N-VANは運転席以外はフルフラットになるし、スーパーハイトなので外見よりも車内が広いんです。BIGサイズのクーラーBOXが楽々積めるし、ロッドの収納にも困りません。自分専用だから、汚しても、濡らしても、すべて自己責任です。

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こんな幸せって、ある?

もちろん、もっと大きい車をお持ちの方や、豪華装備の車をお持ちの方もいるでしょう。

でも、房総半島の湊町の狭い路地を燃費良く、キズやヨゴレを気にせずに走るならコレで十分、と言うかコレがベストじゃないかとすら思います。

そもそも、定年退職後のGのようなサラリーマンには、ちょっと贅沢なくらい。

それと大きな声では言えないけど、N-VANは軽貨物なので申請すれば黒ナンバーが取得できるんです(当たり前か…)。だから、いざとなったらAmazonの配達のバイトもできるかな?

そんなことを夢想している、定年退職目前のGなのでした。