いよいよ、リタイア生活の開幕だ。
本当なら先週の土曜日からスタートのはずだったけれど、義父の葬儀があって3日遅れの開幕戦だ。
リタイア後の生活で、必ずやろうと決めていたのが早朝の散歩だ。
現役の頃、奥方の運転で最寄り駅まで送ってもらう道中、何人ものお年寄りを見掛けた。犬の散歩のつもりが実は犬に散歩させられている人、上下スポーツウェアで決めてヨロヨロとジョギングする人など、まさに人それぞれだが、それを目撃したGは奥方に「また老人の徘徊だ!」と言って笑ったものだった。
お年寄りを侮辱しているのではない。自分の近い将来の姿に対する「自嘲」なのだ。
健康的な習慣であって、何も恥ずべきでは無いけれど、なぜかその姿に哀愁と滑稽さを感じるのは、はたしてGだけだろうか?
そして、自ら「徘徊」して気付いたのは、今までいかに自分が何も見ていなかったかということ。自宅の周辺には、実に色とりどりの花が咲いていた。
これからは、この花々を愛でつつ、哀愁と滑稽さを身に纏って「徘徊」を続けようと思うGだった。